深夜1時のラブレター



何かに巻き込まれた?絡まれた?

心優しいほまれが、人を傷つけるなんて考えられない。

私が、守ってあげなくちゃ―――。



「あいっ!」



私の名前を呼んだのは、ほまれだったのか。

それとも後ろから駆けつけて来たりゅうじさんだったのか。

すかさず、危ないという声が聞こえて、体を抱き止められた。

月が雲に隠れた暗闇の中、ほまれと揉み合っている人物の顔はよく見えないが、逃げようとしているのを、彼が必死で押さえているのが、分かった。



「ほまれ、何があったの?」

「あい、こいつだよ!こいつが例の嫌がらせの犯人」

「え?」

「俺、ずっと外で見張ってたんだ!そしたら、こいつがあいの家のポストに手紙を入れた!」



この人が、例の犯人……?

膝が震える。変則的な息遣いが誰ともなく聞こえる。

一瞬の間を置いたその時。

ほまれに体を押さえつけられていた人物が、大きく暴れて、その拘束を解いた。

そして―――――。



「あっ!」

「ほまれっ!?」



ゆっくりと地面に崩れ落ちていくほまれの体と。

その体から、銀色に光るナイフを引き抜いた人物が。

まるでスローモーションのようにして動き、偶然通りかかった車のヘッドライトに照らされた。













嘘でしょ。



















「……日野さん」




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