そこにいた

「はぁ」





怠い…。風邪ってホントに治りが悪い。



 
熱が出たら最後……入院中なら長引いて、外にいたら即入院…。





同じ模様の白い天井とベッド周りのカーテンレールをなぞるように見つめるのにも、もう飽きた……。





部屋から出たい……。だけど、全身鉛になったように体は動かない。






ガラッ





そんなことを考えていると、扉が開く。






「どう?調子は。」 





そう言ってベッド沿いの椅子に座りながら聴診器を取り出す亮先生。 
  



「えっ!?」




聴診器、付けるの?





「あ、あの……





朝の回診、受けましたよっ!!!」





止めるように慌てて体を起こしてみると、





「ん?
僕は綾ちゃんの担当医だよ。





僕の耳で聞きたいの。」






そう言って、私の肩を押してベッドに寝かし、人差し指で胸を軽く突く。




その状態に胸のドキドキが止まらい……。




「なんで?





ダメだった?





もしかして・・・・・・。」






へ?何?胸のドキドキ気付かれた?





「・・・・・・昨日より悪くなってるとか?」




はい?そっち!?




「そ、そんなことないですっ!!!
だいぶ楽になりましたっ!!!」






「今朝の回診でも、そう言ったみたいだけど……。 
聴診すれば分かるんだから~。」



武田先生も熱は下がってるって言って回診を終わらせていたし。





大丈夫だと思うけど……。





なかなか終わらない聴診に不安がつのる。





「綾ちゃん…



少し落ち着こうか。




吸って~





はい、吐いて~。」





胸の音が私にも聞こえるくらい忙しない。




緊張してるのか、ゆっくり呼吸をすることもままならない。





早く……終わらないかな。





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