そこにいた

ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。




規則的な音を聞きながら、目が覚めた。






ぐっすり眠っていたことが分かるくらい、目を開けた時にスッキリとした気分。






カーテンのされていないベッドに、マスクを付けられて仰向けで寝ている。





ここは病院には違いないけど、私の知らない部屋…?






周りでバタバタと走る音が聞こえる。






今さっきまでは、真っ暗な記憶しかない。




その前の記憶……覚えてる限りでは……






「綾ちゃんっ!!!」





そうだ、この顔。






そう思うと自然と笑みがこぼれた。






「…笑ってる……?
どう?気分は……。




今の状況、わかる?」





分からないけど……






あれ?





突然、お腹が強い痛みに襲われた。




「ぃたい。」






つい声が出ちゃうくらい……






「・・・・・・どして?」 






「綾っ!?」






亮先生の後ろから、お母さんの顔が覗いた。






いつぶりだろ。






最近、忙しく仕事をしてたから、ずっと会ってなかった。






着替えも私が寝てから持ってきてくれてた。







「綾っ。目が覚めたのねっ!!!・・・・・・良かった・・・・・・。」






その後ろには武田先生がいる。





なんとなく、お母さんに近いようにも思えるけど、そんなことは今はどうでもいい。





なんで、こんなに体が。お腹が痛いんだろう。







お母さん、泣いてるし・・・・・・。





でも、お母さんの泣き顔よりも、なぜ私のお腹が痛いのか……分からない。







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