虹色研究部 - ニジケン -
「蘭先輩か、珍しいね。あの人、昼休みはいつも屋上で寝てるんでしょ?」


「屋上じゃ肌寒いし、もう寝られないんじゃないかな? 蘭先輩、結構な寒がりみたいだし」


渡り廊下を歩きながら、大きなあくびをする蘭先輩は、衣替え期間も待たずに規定外のキャメル色のカーディガンを着用していた。

今も寒そうに、カーディガンの襟元を伸ばしている。


「まだそこまで寒くないのにねー。あの隠れソフトマッチョは見せかけか」


小馬鹿にした様に下唇を突き出したトミーは、自分で自分の言葉にブハッと吹き出した。


「もう、トミーってば」


小さくため息を付いて、私もクスッと笑う。


「あはは! んじゃ、私達もそろそろ戻ろっか」


そう言って、ぴょんっと立ち上がったトミー。

私もお弁当箱を持って立ち上がると、お尻を軽く払って中庭を後にした。
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