あたしはそれでもアキが好き
☆☆☆

アキとの楽しい時間はあっという間に過ぎていく。


2人でいると本当に付き合っているような感覚にさえなっていって、その度にあたしは強く頭を振った。


あまり期待しすぎたら、振られた時に立ち直れなくなってしまうかもしれない。


「ねぇアキ」


ひとしきり遊んだあたしたちは、家への道を歩いていた。


空はオレンジ色に染まっている。


「なに?」


「昨日のことなんだけど……」


「あぁ。昨日はごめん、あんなわけのわからない事を言って」


アキはそう言い照れたように顔を赤くした。


「あれは……告白を断ったって意味じゃなかったの?」


勇気を出してそう聞いてみると、アキは困ったように首を傾げた。


「そうなんだけど、そうじゃないんだ」


「え?」


今度はあたしが首を傾げる番だ。


アキの考えが見えてこない。


あれが告白の返事でNOという意味なら、今日一緒に遊んだりしなかったはずだ。


「美奈、今から俺の家に来ない?」


突然の誘いにあたしは戸惑った。
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