あたしはそれでもアキが好き
☆☆☆

あたしがアキの病気を勉強して色々知識を増やして行っても、アキへの気持ちは何も変わらなかった。


アキが好き。


その気持ちがあるから、毎日勉強して、毎日アキの家に通うことだってできた。


今日もアキの家に来て、学校の課題を一緒にやっている。


「なぁ美奈」


「なに?」


数学の課題から顔を上げてアキを見る。


「夏休みが始まった一週間たつのに、どっこも行かないのか?」


そう聞かれ、あたしは苦笑いをした。


実はお父さんの仕事が丁度忙しくなり始めていて、休みが取れないのだ。


お母さんと2人で少し遠いショッピングモールまで行くことはあっても、1日中遊ぶことはなかった。


「アキこそ。必ず家にいるじゃん」


「俺は通院があるからあんまり離れられないんだよ」


アキはほほ笑みを浮かべたままそう言った。


特に気にしている様子はないけれど、自分が失言してしまったことくらいは理解できた。
< 30 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop