囚われた瞳【琴子さんanother story】番外編2UP

残酷な現実

カチャ…

「ただいまあ」

久しぶりに帰った部屋は、知らない家のような匂いがした。

掃除しよう。布団も干して、ふかふかにしておこう。



夕方

買い出しに出かける。自転車はまだ見つかってない。

工の好きなカレーライスを作ろう。ポテトサラダとコンソメスープも。

今日は、エコバッグの代わりにリュックを背負ってきた。これなら、多少は重い物を運べるから。

ジャガイモ、玉ねぎ、きゅうり、、、

全部をリュックに詰めて、歩き出す。


スマホの新着メールはない。


重い…重いよ




『青山さん?やっぱり青山さんだぁ』

重いエコバッグを、ひょいっと持ってくれた晴の姿が浮かんだ。




下を向いたら、涙がこぼれてしまいそうだから、真っ直ぐに前を向いて歩く。


晴、待ってるよ。






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