囚われた瞳【琴子さんanother story】番外編2UP

2.

新しい編集長

月曜日。また一週間が始まる。

週末は楽しかったな。お花見弁当も美味しかったけど、何よりも荻野君とたくさん話せたことが嬉しい。

撮影の時に、多少言葉は交わすけど仕事の話だけで、プライベートな事を話したのは、昨日が初めてだ。

土曜日には、荷物を運んでもらっちゃったし、優しい子だな。

思わず頬が緩む。

「なあ、さっきから気持ち悪いぞ？色ボケか？」

隣の席から、容赦の無い言葉が飛んできた。

むっ。何よ、気持ち悪いって…

「永岡さん、酷いです。笑顔が可愛いねとか言えないんですか？」

永岡さんは、いい先輩なんだけど、口が悪い。

「青山の例の企画、思ったより早く日の目を見るかもよ。今日、噂の彼が来てる。発表がある可能性大だ」

スルーですか……でも！

「本当に？」

半信半疑の私に、永岡さんは、にぃーーっと笑った。

そういえば、いつもこの時間に席にいる田口編集長がいない。