恋する想いを文字にのせて…
11通目…ラストレターは涙と共に
過去を振り返りながら手紙を書き終えた。

側にあった小野寺さんの手紙に気づき、そ…と手を伸ばした。



ーー彼には昼間、嘘をついてしまった。

誠実で正直そうな人なのに、その嘘を信じ込ませたままでいるのは辛い。


故郷へ帰る前に、真実だけは伝えておきたい。

あの町に帰ったらもう二度と会うこともなくなるのだから……。




『親愛なるアナタヘ、先日はどうもありがとうございました。』



書き始めて直ぐに涙が溢れ始めた。


文字と共に送るこの涙が、彼に届くことを願って綴ったーーー。



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