恋する想いを文字にのせて…
「いいじゃないですか。それでも愛があれば幸せでしょう…」


「そんなこと言うから分からず屋だと言うのよ!」


怒ったような声を出し、萌子さんは俺を睨んだ。


「働かない男と暮らして、そこに愛が生まれると思う?そりゃ最初は勢いもあって、しがみつくことが愛に思えたかもしれない。でも、それはそのうち剥がされていくのよ!金メッキが剥がれて、鉄が顔を出すようにね…!」


イラつくような感じで話す萌子さんの肩を、先生は「落ち着いて、血圧が上がるわよ」と囁きながらさすった。
呼吸を整える萌子さんを待って、先生は俺の方へ向き直った。


「あのね…結論から言うと、クルミさんはその人と別れて何年にもなるらしいの。でも、2人の間にはお子さんがいて、酷い言い方をするなら、その人は彼女と子供を捨てて出て行ったの……」

「籍も入れずに一緒に暮らすだけ暮らして子供ができたから捨てる…最低な男だったって訳!しかもその後、彼女はもっと酷い不幸に襲われたのよ!」


「お姉さん、不幸なんて言い方をしては駄目よ!クルミさんは天罰だと言って笑ってたでしょう?一番苦しい思いをしてる人が笑ってるのに、私達がそれを不幸だと言ったら彼女は救われないわ…」


制する妹に「それでも、あんまりじゃないの!」と食い下がろうとする姉。

姉妹の言い合いを眺めていた俺は、ますます話の内容に混乱した。





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