恋する想いを文字にのせて…
帰った当初はなかなか家族に馴染めず、自分の部屋の隅に引きこもることも多く見られた純也でしたが、この頃は自分から周りの人達に声をかけ、明るく接してくれるようになりました。

沢山の雪を見るのも大きな川を眺めるのも初めてで、毎日目をキョロキョロさせながら登校しております。


この最近、私が朝から晩まで家に居るのが不思議らしく、先日は「働かなくていいの?」と、質問されました。

それほどまでに働き通しだったのだな…と、改めて思い知った瞬間でした。


もう少しだけ、あの子の為に今の生活を続けてやりたいと思っているのですが………


小野寺さんは困るでしょうね……。』



「困るよ!」


思わず大きな声を出してしまった。
周囲の冷たい視線に目を配り、軽く会釈しながら首を引っ込めた。



『私もこのまま、ぬるま湯に浸かったような生活を送っていては、再び仕事を始めた時にかなり苦労するのではないか…と思っています。ある程度の期限をつけて、またそちらへ戻りたいなとは思っていますが……それを父や兄が、許してくれるかどうか…。


ろくでもない男に引っ掛かった馬鹿者だ…と、今もって言われてる私ですから。ーーー』



故郷は遠くにあるからいいのよ…と言った萌子さんの言葉を思い出した。

景色や雰囲気にどんなに癒されても、厳しい人間関係に揉まれているのだ…と案じた。


『それでも、2人とも純也を甘やかしてはくれます。



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