恋する想いを文字にのせて…
17通目……ラブレターズ
「早く早く!式に遅れるぅ〜〜!!」


慣れない着物を着ようと決めたせいで、帯が綺麗に纏まらずにいる私に妹が声をかける。

イライラとしながら結ぶおかげで、余計に時間がかかってしまう。


「芽衣ちゃん、そんなに慌てさせないで!帯が形良くできないから!」


キュッキュッと帯留めを締めながら文句を言った。


私達が仲を取り持った2人は、今日、都内のチャペルで式を挙げる。


子連れだからしなくていい…と断る彼女を説き伏せて、やっとこの良き日を迎えることになったのだ。




「ほらほら!タクシーも来たし!急いで急いで!!」


「あ〜〜ん!ちょっと待ってぇ〜!ご祝儀忘れそうだった〜〜!」


誰に似たのかおっちょこちょいな妹に呆れる。

これだから嫁にも行けず、あの子の漫画家人生を支え続けてきたのだ。


「お待たせ〜〜!運転手さん急いでね〜〜!」


待たせた張本人の言葉に笑い、タクシー運転手は車を発進させた。



「芽衣ちゃん、あの本持ってきた?」


「勿論!絶対に忘れたりしないって!」


「発売前に見せるって約束しているんだからね!もう一度、バッグの中身確認して!」


「大丈夫よぉ!ほらぁ!」


取り出した単行本の表紙には、汚れ防止の透明カバーが付けてある。




本のタイトルは『ラブレターズ』


彼と彼女の文通の一部始終を、フィクションを交えて漫画にした。




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