恋する想いを文字にのせて…
小野寺様と手紙のやり取りを交わしているうちに、ひょっとしたら叶えられるのではないかと思ってしまったのも事実です。

一読者に過ぎない私が、往年のファンであろう多くの読者を出し抜いて会うなどおこがましい。

小野寺様の編集者としての立場を利用してしまおうと思ったことも、今思えば恥ずかしい限りだと反省しています。


何かのお礼をすることで、後ろめたさを感じない様にしようとしていました。

けれど、顔も知らず声を聞かせてもいない私を幾ら小野寺様と言えど、先生とお繋ぎすることなんてできる筈がありませんよね。


何より私は、貴方に会いたいという気持ちをごまかしてしまった。

会って誰よりも先にお礼が言いたいのに、それをしようとせずにいた。


貴方は私の思いを受け止めて下さっただけでなく、文字に思いを乗せて返して下さった。

それなのに、それを声で返さずして、その先のことはあり得ないだろうと思い直しました。


だから、この手紙が貴方様の意図に沿わなければ捨てて下さっても構いません。

お返事が届かなければ、今後一切、私からはお便りも差し上げない覚悟でいます。



だから、改めてお願いします。

近いうちにどうか私と会える時間を作って下さい。

私も仕事をしておりますが、幸いにも水曜日は毎週お休みを頂いております。


貴方様のご都合に合わせて、都内へ行く準備も整えておきます。

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