恋する想いを文字にのせて…
「来未さんが目をつけているレターセットを買いに行きましょう。あんな所、男1人で行くにはハードルが高すぎて困るんです。僕の分も選んで下さい。今度はそれに文字を書き綴りますから」


頷く彼女が綺麗に見えた。

恋する相手が、これほど綺麗に見えたことなどない。


手荷物をホテルのフロントに預けて歩き出した。
空の手に触れてはいけない気がして、ずっとコートのポケットに入れたままにしていた。



駅チカの文具コーナーで、彼女は俺の誕生日祝いのレターセットと4Bの鉛筆を買い求めた。

綺麗に包装された文具には、ピンクのリボンが取り付けられた。



「小野寺さんにピンクのリボンはダメでしたね」


つい浮かれて…と言い訳する彼女の手から、包装されたものを受け取った。


「ダメじゃないですよ。何でも嬉しいです。女性から誕生日のお祝いを受け取るなんて、かなり久しぶりなことだから…」


こっちの言葉に黙って微笑まれた。
さっきからずっと、彼女の態度には気になるものがある。


聞いてはならない、もしくは聞きたくない気持ちが先立った。
それを聞いてしまえば、全てが終わってしまうような気もした。


ごまかしたままの状態で過ごした。
午後の3時までなら時間が空いている…と言う彼女と、大切な時間を過ごしたかった。




ランチを一緒に食べた後、荷物を預けているホテルから一番近いデパートへ行った。

そこでも彼女は文具コーナーに立ち寄り、数点の買い物をした。


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