Pathological love

哀しい気持ちと同時に、私の中にポォッと暖かい気持ちが生まれた。

私を抱き締めながら、震えているこの人が愛しくて堪らなくなった。

私は手を精一杯伸ばして、彼の頭を両腕で抱き締めた。


「もう大丈夫だよ……ちゃんと迎えに来たからね?………もう、独りになんてしないよ。私がずっと傍に居るからね………連理………。」


過去の彼は、もう救うことは出来ないけれど、まだ手遅れじゃない。

今の傷ついた連理を、私は助けて見せる。

段々と力が抜けて、私達は二人して床に座り込んだ。

私の胸の中で眠る連理は、とても安らかで子供のような顔をしている。


「良かった。」


私達は暫くそのままでいた。

綾野さんが来るだろうと気にしていたけれど、結局連理が落ち着くまで、二人っきりだった。

きっと綾野さんが気を効かせてくれたのだろう。

本当に気遣いが完璧な人だとつくづく思う。

その後もタクシーまで彼を運ぶのを手伝ってくれた。


「せーのっ………あぁー…もう無理!!もう、動けない!!」


彼の部屋のベットに酔っ払いを放り投げて、私も隣に横たわった。

腕力の限界を越えたんじゃないかってくらい力を使い果たした。


「あぁ~明日、筋肉痛かも。………いや、明後日来たらどうしよ………。」


ワラワラする自分の腕をセルフマッサージしていると、隣の連理がムクッと上半身を起こした。


「あっ………連理、起きたの?」


暫くボーッとしたかと思うと、いきなりシャツのボタンを外し始めた。


「何?!どうしたの?」


「暑い………。」


「えっ?ちょっと待って!!私は帰るから!!」


急いで立ち上がろうとすると、腕を掴まれた。


「っ?!!」


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