2番目じゃなくて、2度目の恋


父も母も、きっと不思議がっているんだろう。
外では気にせず会うくせに、どうして実家には帰ってこないのかと。
そんなに実家が嫌なのかと。


電話で毎回のように『帰ってきなさい』と言われるたびに、チクンと胸が痛む。


「帰れないんだよ……」


言い訳は、「忙しい」。
いつもそれを繰り返す。
でも、暦通りに日曜祝日が休みだっていうのは母も知ってることだし、ゴールデンウィークすらも帰らなかった私。


母からすればいい加減にしてほしいというのが本音だろう。


『あ、そうだ。それならお付き合いしてる望月さんと一緒にうちに来るっていうのはどう?』


電話越しに明るい母の声を聞きながら、私はため息をついた。


「まだ付き合ってちょっとしか経ってないのに、そんなの無理に決まってるでしょ?」

『何言ってるのよ!お見合いで出会ったんだから、お互いにそういうつもりでしょ?早いも遅いも無いじゃない?』

「休みも合わないし、あんまり会えてないし」


それは本当のことだ。
お互いの仕事を考慮して休みが合わないことを指摘した私に、弘人は最初、こう言っていた。
「大丈夫。俺があなたに合わせるから」と。


ちっとも合わないし、合わせる気も無さそうな彼。
それって私に会いたくないってことだよね。


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