今すぐぎゅっと、だきしめて。

「……ユイ? 大丈夫?」


呆れたような、そんな声。



「イタタ……」



あたしは、俯いたままヒロに答えずに上体を起こした。


なんであんなことに木の幹が出てんのよ…


痛い。

痛い 痛い 痛い


膝痛いよー……



「どっか怪我したの? ちょっと見せてみなよ」



ヒロの優しい言葉があたしを包む。

でも、あたしはその声に何も返すことが出来ずにいた。


ヒロが悪いんだよ?

ヒロが、あたしを無視したりするから……
あたしを見てくれないから……


視界がぐらりと歪む。

喉の奥が焼けるように熱くて
あたしは震える唇をキュッと噛み締めた。

今、瞬きしちゃったら気持ちも全部零れちゃいそうで



――……あたし







「……ごめん」

「……え?」



うずくまったまま
動かないあたしを黙って眺めていたヒロ


「ごめん」の一言が
まるで頭の中に響くように聞こえた。



ハッとして顔を上げたのと同時
頬に一滴の涙が零れ落ちた。


あたたかくて
切なくて

胸がギュッとなるような
そんな感情に

苦しくて胸が潰れちゃいそうだよ……


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