今すぐぎゅっと、だきしめて。
恋しい笑顔
学際当日。
うちの中学は、一般公開もしていて。
すっごく賑やかなの。
賑やかなんだけど……。
「いらっしゃーい。 美味しい豚汁いかが~」
「アニマルカフェへようこそぉ」
教室から、校庭の様子が良く見える。
他のクラスの出し物に、たくさんの人が並んでる。
あたしは奈々子と窓から身を乗り出して、ぼんやりといていた。
「……」
「……」
校庭から視線を外して、教室の中をチラリと見た。
「……ヒマだね」
コスプレ記念写真館は、なぜか誰も人が来ていない。
当番になってるあたしと奈々子を含めた生徒が5人。
暇そうにしていた。
携帯をいじってる子もいるし、勝手に写真撮ってる子もいるし。
男子なんて女装して、爆笑してる。
……てゆーかさ。
中学最後の学園祭なんだよ?
こんなのでいいのかな……。
「はあ」
溜息をついたその時だった。
「おい、お前ら!」