今すぐぎゅっと、だきしめて。
ヒロの瞳の中に
あたしがうつってた。
そう思うだけで、胸が焼けるように熱い。
「安達? おーい」
ダメ……
やっぱり無理だ……
だってこんなに
こんなにあたしヒロを想ってる。
あたしの体が、ヒロを好きだって叫んでる。
ドクン
ドクン
「……―、…、ん」
「え? なに?」
水谷があたしに、耳を寄せた。
「水谷、ごめん。 あたし、水谷の気持ちにはこたえらんない。 好きな人がいるの……。 あきらめようと、どれだけ努力しても。 あたしの中からいなくならない、そんな人がいるの。 だから……水谷の気持ち、すっごくうれしいけど……。
ごめんなさい!」
一気にそこまで言って
あたしは体を足元まで折り曲げた。
ごめん、水谷。
だけど、水谷のおかげであたしは気付けた。
この気持ち……なくさなくても……いいよね?
たとえヒロには伝えられなくても。
それでも、あたしはこのあったかくて切ない想いをなくしたくないって
そう思えたんだ。