今すぐぎゅっと、だきしめて。


あたしは、なんとなくヒロのお母さんを見ていられなくて足元に視線を落とした。


「そうなの……あ、こんなところじゃなんだから、ぜひうちに寄っていって?」

「え?……で、でも…」

「いいから。 ヒロもその方が喜ぶから」


ヒロのお母さんは、すぐにやわらかな笑みを浮かべて、あたしに歩み寄った。




――ドキン




間近で見上げた、ヒロのお母さんの顔はやっぱりヒロに似ていて
あたしの胸はなぜかザワザワと音を立てた。







ヒロの家は、平屋の日本家屋。

小さいけれど、とてもあたたかでヒロがどんな人生を歩んで来たか
わかるような気がした。



玄関を上がると、真っ直ぐに伸びる廊下。

左手には縁側があって、庭には古びたバスケットゴールがあって。
その下には、寂しそうなボールが転がっていた。





……あの記憶とまるで同じだ…。




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