今すぐぎゅっと、だきしめて。

―――――――………
――――……






その日も、
空は突き抜けるように青く


真っ白な入道雲は
青い青い空へと伸びている。



蝉の声がする


風が吹いてる





――ここは、何処?




……ラ…カ……ラ

音が聞こえる




何の音?


……カラカラカラ


その音は、だんだんこっちに近づいてくる。



カラカラ……

自転車の車輪の音?


…ブロロロ



今度は違う音……これは、エンジン音。



カラカラカラ……ブロロロロ……
近づいてる。 


カラカラ…ブロロロ…カラカラ…ブロロロ……

スピードを落とさない2つの音。



ダメ。

このままじゃ……ダメだよ!







見えないのに、まるですぐ傍に聞こえる音に、あたしは開いているかわからない瞳をぎゅっと閉じた。



―――キキイイィイ






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