夜一を見たらわかること



また日曜日になる。その日は雨だった。

傘をさして夜一の家に向かう。一度しか来ていないはずなのに、あたしの足は覚えていた。

呼び鈴を鳴らすと、夜一が出てきた。部屋に招かれるまま足は進む。

お母さんが出掛けてるからと、今日はグラスに入ったジュースをテーブルに置いた。

「今日こそモデルっぽくする?」

あたしは今日も優しい口調で言った。

「いいよ。普通で」

「この前も真顔だったけど」

こんなんじゃ可愛い話し方の意味もない気がするってやっぱり思った。

「平気」

「うん」

頷きながら、疲れないようにしようって、お尻の位置をずらして壁に背中を預けた。

それなのに、夜一はスケッチブックも鉛筆も持とうともしなかった。

「夜一?」

呼びかけても無言。

「どうしたの?」

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