強引上司と過保護な社内恋愛!?
ほお、と言って桧山父は目を細め訝しげな表情を浮かべる。

「部下の方がこのろくでなしの何を知っているかは存じませんが、私達は散々ガッカリさせられてきました。その気持ちは部外者の方には解り得ないことだと思います」

「お父さんこそ今の、暁さんの何を知っているんですか?」

桧山父の冷静な態度とは裏腹に、顔が熱くなる。

「彼は熱意を持って仕事に取り組んでいて、営業成績は常にトップです。口ではいつも適当な事ばかり言ってますけど、最後は周囲の期待以上の成果を出す人です」

「仕事をするとはそういうものだろう?」

それが出来ない人だって沢山いる。

しかし桧山父はそこと比べる気はないらしい。

そもそも眼中にない。

「暁さんは人を引きつけます。彼の明るさで救われた人も沢山いるでしょう。上司も同僚も部下も皆んな桧山さんを慕って頼りにしています」

それに!と言って私は言葉をつなぐ。

「桧山さんは物乞いなんかじゃなくありません!彼はデッカい物を作るんです!それこそ孫の代まで地図に載っかってるようなデッカいものを!」

貴方には出来ない仕事です。

そう言う代わりにジッと桧山父を睨みつける。

桧山父は視線を逸らさず押し黙った。

小学生みたいな私の言い様に呆れて言葉が出ないのかもしれない。
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