強引上司と過保護な社内恋愛!?
まるで我が家のような寛ぎっぷりだ。

私はすっかりこのゴージャスな物件に適応している。

リラックスしていると玄関のインターフォンが鳴った。

私はギクリと身体を強張らせて、息を潜める。

しかし続けざまにインターフォンが鳴らされるので、私は音を立てないようそろりと玄関へ向かった。

息を殺してドアスコープから外の様子を伺う。

あれ?

ドアの向こうに立っているのは桧山さんだった。

家に鍵を忘れて買い物に行ったのかな。

「おかえりなさーい」

私は勢いよくドアを開けると、桧山さんはギョッとした表情を浮かべた。

今日は珍しく眼鏡なんか掛けて、いつもよりインテリジェンスな感じ。

服装も白のケーブルニットに黒い細身のパンツを合わせて、同じく黒のチェスターコートをサラリと羽織っている。

エレガントな着こなしで私服も抜かりなくお洒落だ。

手には紙袋を持っているので恐らく買い物に行っていたのだろう。

「朝起きたベッドにいないから何処に行ったかと思いましたよー」

「べ、ベッド…?」

桧山さんは目を見開き首を傾げる。

「なにボーっと突っ立ってんですか。早く入ってください」

桧山さんはハッと我に返り「お邪魔します」と言って家に上がる。
< 214 / 360 >

この作品をシェア

pagetop