強引上司と過保護な社内恋愛!?
「いんじゃね?」

翌日、私のデスクにフラリと桧山さんが立ち寄る。

「主語が抜けては何の事だかわかりません」

桧山さんはピクリと眉根を寄せる。

「送ってくれた工事実績、いいんじゃね?」

律儀にも言いなおしてくれた。

「それは何よりです」

二コリともせずに私はすげなく返す。

「それとさ、マニュアルは必要だと思ったら自分で作れば?」

「もう作ってあります」

私はドヤ顔で作成したマニュアルをバサリとデスクの上に広げる。しかもフロー図付きだ。

さすがだな…と呟き、目を大きく見開く桧山さんを見て私はフンと鼻で笑ってやる。

「とりあえず助かったわ。さんきゅー」

はい、と言ってデスクの上にカラフルなキャンディーが入った袋を置いて去って行った。

もしかして…お礼のつもりかな。

こんな子ども騙し、と思いつつもどこか胸の奥で浮かれている自分がいる。

早速一つ食べてみようかと袋を手に取ってみる。

あれ…?

良く見ると賞味期限が切れている。しかも半年前に。

「くっそ…」

僅かにも喜んでしまった事が悔やまれる。

やっぱりあの男は最低だ。

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