強引上司と過保護な社内恋愛!?
12. そして一歩を踏み出す
暫くして、日本での私の生活にもちょっとした変化があった。

ふかふかのソファーに座り、眼下の夜景を眺めながら私は缶ビールを飲み干す。

「さいっこうだわー」

そして独りごち、ゴロリとソファーに横たわった。

マンションの更新を期に、暁さんのはからいで、先月ムーンアイランドのパークタワーへと引っ越した。

桧山家のご両親も大喜びで引っ越し当日は一家総出でお手伝いに来てくれた。

包囲網を張られているもはもしかして私の方なのかもしれない。

そんな思いがフト過ったりもしたけど。

帰って来た時に直ぐに会えるように、と暁さんは言っていたが、こんな快適な生活を送れるなら暫く帰って来なくていいかな、とすら思う。

掃除もしなきゃいけなくなるしね。

リビングのガラステーブルの上には郵便物やら書籍などが積み重ねられており、その隣には空き缶が転がっている。

床には鞄と服がブッ散らかっている。

ゴージャス物件だろうが、狭小住宅だろうが私が住めば汚部屋になる。

家賃を払うと何度も言ったけど「将来のために貯めておけばいいじゃん」なんて軽薄な暁さんの口から超前向き発言が出たので、それ以上何も言うことが出来なかった。

そんな訳で快適な生活を手に入れ私は一人でも心の底から幸せだ。
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