強引上司と過保護な社内恋愛!?
コーヒーを飲み終えると五十嵐さんはそのまま次の会議へ直行する。

私と桧山さんはわくわく動物園へと戻るべくエレベーターに乗り込んだ。

他に誰も乗っていない今がお礼を言うチャンスだ。

「あの…」

私が思い切って声を掛けると桧山さんが此方へ振り向く。

「今日はありがとうございました。助かりました」

「此方こそありがとう。助かった」

桧山さんは目元を柔らかく綻ばせ、私の頭をクシャッと撫でる。

何よ…小娘扱いして。

なんて毒付きながらも、桧山さんの大きくて暖かい手は張りつめていた私の気持ちを酷く安心させた。

「実は…かなりビビってました」

思わず本音がポロっと口を突いて出る。

おっさん達に吊るしあげられて声が震えそうになるのを必死に我慢していた。

「木村さんに噛み付いたらしいな」

桧山さんは私の頭を撫でながらくすっと可笑しそうに笑う。

木村さん、とは禿げた子泣きジジイ似のおっさんの事らしい。

「これで田母神も立派な動物園の一員だな」

桧山さんは目元を綻ばせながら言う。

どうしよう。全然嬉しくない。
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