ねぇ、松風くん。


caféなんて、バイトで慣れているけれど、こうやってみんなと1から創り上げて行く楽しみは文化祭ならではだなぁ。


「あ、水替えて来ないともう汚いや。」

「なら私行ってくるよ!」


近くで作業をしていた美香ちゃんの声に反応した私は、絵の具で汚れた水を眺めながら自ら替えてくると立候補した。

この際、考える隙もないくらい働きまくってしまおう。


そんな考えが、私の体を動かす。


「本当?助かる優ちゃん!」


パァッと目を輝かせる美香ちゃんに”任せて”と笑顔を向けると、

「あ、でも重たいし…そうだ!林 一緒に行ってあげなよ!」


”どうせサボってるんだし”そう続けた美香ちゃんの言葉に、近くにしゃがみ込んでいた林くんが顔を上げる。


「別にいいけど?…っつか、サボりじゃねぇ!」

「サボりじゃないなら、何?少しは役に立ちなさいよ!」

「お前は本当に昔から……。」


実はこの2人、幼馴染らしく口ではあーだこーだ言いながらもとても仲良しなのだ。


「ま、まぁまぁ……」


これが俗に言う痴話喧嘩とかいうやつ?


でも、少しうらやましいな。
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