君からのアイラブユー



「……怖がらせたなら謝る。ごめん」


矢吹くんは一瞬でしょんぼりして、さっきの勢いはどこへやら。怖がらせるつもりはなかったと反省するように口を閉ざしてしまった。

周りから「恐い人」と言われているけれどそれは人が勝手に作った虚像でしかない。私は成績が落ちること以外は恐いものはないし、自分の目で見たものしか信じないと決めている。


「はぁ……。矢吹くんの気持ちは分かりました。とりあえず連絡先を教えてもらってもいいですか?」

「!!」

パーッと嘘みたいに顔が変わった矢吹くんはまるで子供みたいだ。


「え、うそ、マジで?いいの?え、嘘だろ?マジで??いや、でも……え、本当に本当にいいの?」


彼の言葉が呪文のようだ。

遅かれ早かれ矢吹くんから聞いてきそうな素振りはあったし、その時はきっぱり断ろうと思っていたけど文字にした方が伝わることもあるかもしれない。

メールなら返信時間を自分で決められるし、勉強の合間に話し合うこともできるはず。


「メールは夕方7時までにして下さい。それから週4日塾に通っているのでその日は忙しいです。
土、日は全教科の勉強をスケジュールに入れてるので時間があるのは3時のおやつの時ぐらいです。あと電話は基本しないのでやめてください。
……あの、矢吹くん聞いてますか?」


せっかく注意事項を話しているのに矢吹くんは交換した私のアドレスをみて鼻歌を唄っている。


「矢吹くん。約束が守れないなら私はすぐにアドレス変えますからね。アドレス帳には家族と親戚と情報交換だけしている塾生の仲間が何人か登録されてるだけなので変えてもすぐにって……矢吹くん!」

「聞いてる、聞いてる♪」

 
本当に分かっているのか。

これで勉強の邪魔が減るといいけれど……。


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