without you
「なるほど・・・味噌仕立てにするんじゃなくて、ハーブをあと数種類加えてスープに仕上げた方が、組み合わせ的には良かったかもしれない・・あ、社長。ここは“魚不”じゃなくて、こうです」と私は言いながら、右手を社長に差し出すと、社長はボールペンを私にくれた。

そして私は、社長が書いていた“魚不”の隙間に、“漁夫”と書き直すと、「“ぎょふのり(漁夫の利)”はこう書きます」と言った。

「マジかよ!」
「社長が書かれた漢字でも、同じように読めるんですけどね」
「めんどくせー」と棒読み的に呟く社長の目が、キラッと光った気がする。

社長の負けん気の強さが、表出たかな。

< 187 / 636 >

この作品をシェア

pagetop