without you
私は、社長からいただいた腕時計を、ベッドサイドテーブルにそっと置いた。
そしてスマホをオンにすると、『久遠社長 お誕生日おめでとうございます。良いお年をお迎えください。 木戸』と打った。

結局、今年もこの文か。

毎年同じ文を送る自分に苦笑を浮かべながら、それでも私は、“お祝いメッセージ”を送信した。
そして、オフにしたスマホもベッドサイドテーブルに置くと、ベッドにもぐりこんで、寝た。

こうして私は、今年もひとりで年を越した。

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