without you

「そうですか」
「ああ。なんかさ、冷静なおまえの顔見たら吹っ切れたよ」
「社長のお役に立てて何よりです」と真顔で言う私を見て、久遠社長はクスッと笑った。


「冷静」じゃなくて「無愛想」でしょ、ホントは。
それか、「いつもの冷めた表情」と言っても、いいかもしれない。
とにかく。「物は言いよう」ってことだよね。

頭と心でそう思いながら、表には一切出さなかった。いつものように。

たとえ相手が久遠社長でも、トモちゃんでも、深く関わったり、自分のアツい部分をさらけ出すことはしない。
誰に対しても、そんなことは・・・しない。