without you
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久遠社長が「A-spade」を売却しないと分かって、私に巣食っていた不安が、少しずつなくなっていく。
社長が言われたことは、説得力があった。
嘘をついているとも思えない。

でも、社長の気が変わるかもしれない。
社長が思っているとおりにはいかなくて、「A-spade」を売却することになるかもしれない。
「A-spade」を売らなくても、私の仕事内容が大幅に変わるかもしれないし、やっぱり仕事量が少なくなったから用済み、になるかもしれない。

人はいつも、変化の渦中に身を置いている。
だから変わらない人なんていない。
状況だって、いつかは変わる。

今回の件は、現状にしがみついてる私への、警告だったのかな・・・。

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