without you
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もう!
なんで「(予定)ありません」と、正直に答えてしまったのよ!
・・・それは、社長の残念そうな声を聞きたくなかったから。
社長がガッカリしてる姿も想像したくないし。
でも!
あそこできちっと断っておけば、社長の落胆は、その間だけで済んだはず。
いや。それとも、「バースデー」は口実で、去年プレゼントあげちゃったから、今年も何かしないといけない、なんて、実は部下に対して変な義理を感じてしまってるだけなんじゃないの?
・・・そうよ。
もし、あそこで断ってたら、ホントのところは社長、落胆するどころかホッとして。
代わりに彼女さんと一緒に過ごそう!と思ってたりして・・・。

バカだ私!
考えが至らな過ぎた。

私は椅子から立ち上がると、ズンズン歩き出した。
そして、社長の机に置いている退職届を、そっと手に取った。


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