without you
「彼女さんが今の言葉を聞いたら、とても嬉しいって思うんじゃないかな」
「おまえは?」
「え?」
「おまえは嬉しかったか」

久遠社長の真摯な表情と、真剣な口調に対して、嘘をついては失礼だと思った私は、正直に答えた。

「はい。私に言われたんじゃないと分かっていても、それでも嬉しかったです。感動しました」
「そうか・・・」

久遠社長は、満足気に2・3度頷くと、湯のみを持って、私の方へ掲げた。
「乾杯。アゲイン」の社長の言葉にクスッと笑いながら、私たちは、湯のみを軽く合わせた。

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