without you
まさか、今夜はどこで過ごそうかと考えていた私が、こんな豪華な部屋に泊まらせてもらうことになるなんて。
しかもここは、久遠社長のおうち・・・。

そのとき、ノック音とともに、その主である久遠社長が「入るぞー」と言いながら入って来た。

「風呂入ったな」
「はい。タオルまで貸していただいて。助かりました」
「おいおい当然だろー?てかおまえ、着替え持って来てたのか」
「はい。この中に。タオルも入ってるけど、社長が用意してくれていたのを使わせてもらいました」と言った私を、社長はまじまじと見ながら、私の隣―――ベッド横―――に座った。

おかげでマットレスが、大柄な彼に合わせて沈む。

「・・・ま、そこまで入ってりゃあ重いはずだよなぁ」と言った社長は、呆れてるというより、面白がってるようだ。

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