私を呼んだ。

ファースト




あの日の少年の顔が忘れられない。

まるで捨てられた子犬のような寂しそうな顔‥‥

何か引っかかる。

本当にあの少年と前に会ってる気がした。




ピリリリリリリッ


「ん?メール‥‥?」


(凛子さん、今暇ですか?映画チケットあるんですがどうですか?)


「おーう、大胆だね‥‥」


まぁ、なにもすることないし誘ってくれてるし、何度も助けてもらってるし‥‥


それに‥‥


ちょっと行きたいし。












「お待たせ‥‥!」

「こんにちは、凛子さん。急にすみません」

「ううん!暇だったから‥‥で、何見るの?」

「‥‥何みたいですか??」

「‥‥え?チケットあるって‥‥」

「はい。俺の財布の中に野口英世ってゆうチケットがあります」

「‥‥ふふふ!」



可愛いなぁ‥‥。



「ちなみに福沢諭吉ってゆうチケットもありますよ?どんどん使ってください」

「ありがとう、じゃあ、あれ見よう!」



私は彼の袖を引っ張り、映画へ走った。

今だけ‥‥今だけ許して。


私を今だけこの子の彼女にさせて‥‥




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