お嬢様の秘密III
しばらく私はただ押し黙ることしかできなかった。


お祖父様、お父様が普通じゃないんだ。


そりゃ、婚約者くらいあてがわれる方が普通よね....。


「....不確かな情報をお伝えしユリ様を困惑させることしたくはないんです。ただ、転入することが認められる5月からAクラスに編入する方が2名いらっしゃるそうなので....。」


「....高3よ?私たち。何でそんな時期に....?」


「日本では裃学園のランクはかなり大きな影響力を持つんです。この学園では3年次転入、編入も珍しくはないんですよ。」


葵と少しでも仲良く....気を引いてもらうために転入させるってことか...。


2人とも女性だったら婚約者候補を2人送りこんでくるってこと。


....ライバルが増える。


「ただ、幸いなことが一点ございますよ。」


「.....え?」


暗い雰囲気を出していた私に理央は努めて優しい声で話しかけた。


「ユリ様は高澤様と並ぶ企業グループのご令嬢であらせられます。そしてその上の方はいない。権力構図でなめられることはありませんよ。」


それはそうなんだけどね....。


結局、お祖父様方に頼らなくてはいけない。権力は盛者必衰。いつまでそれが通用するのか分からない。


今はただ....葵を信じるしかない....。


-ユリside end-
< 51 / 67 >

この作品をシェア

pagetop