第二秘書は恋に盲目
それから、日が落ちて真っ暗になるまでに時間はかからなかった。
この時間になっても、社長や槇島さんから連絡がないということは、あやめちゃんがまだホテルには戻ってないということだろう。
そろそろ、本当に警察に届けた方がいいかもしれない…。

社長に相談する為に携帯を取り出すと、ちょうど着信を受けた。
表示されたのは、須藤孝宏という名前。

こんなときになんなのよ。

なんともタイミングの悪い着信を、仕方なく受けることにした。

「なんですか?
今すっごく忙しくて」
『急いで病院に来い。

あやめちゃんが』

あやめちゃんが…!?
そこまで聞いて私は走り出した。もはや雨なんてどうでも良かった。

あやめちゃんが病院に運び込まれたなんてそんな…。
そんな……!

慣れない全力疾走で呼吸が乱れるのも堪え、とにかく病院まで急いだ。

「あやめちゃん!」

もう人のほとんどいない病院の自動ドアをくぐって、どこにいるかわからないあやめちゃんに向かって叫んだ。
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