第二秘書は恋に盲目
そこで私は初めて気がついた。点滴とは反対の腕の掌にある冷たい感触に。
不思議に思ってそっちに顔を向けてみる。

あ…。

そこには、パイプ椅子にもたれ掛かって眠っている孝宏さんがいた。

掌に感じた冷たさは孝宏さんの掌の温度。手を繋いでいるというよりは、私が一方的に掴んで離さないような感じだけど。

あー、きついな…。
今が夢か現実なのかもわからないくらい。

何時なんだろう。
孝宏さん、ここにいて良いのかな?
起こさなきゃかな?

そんな色んな考えが浮かんでは消え、消えては浮かぶ。
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