君の嘘を知らなくて(仮題)








「課外授業の味はどーう?」


「……桜太の馬鹿っ」


「何で馬鹿なんて言われないといけないの」




クスクスと笑う桜太。

何だか少し、イラッとする。




「あたしとあんたは付き合っていないし、あんたには彼女がいる。
どうしてそれなのにキスするの」



普通、好き同士がするものじゃないの、キスって。

どうしてあたしたちがするの。




「……何度言えばわかるわけ?
俺も真幸も、同じことしているだけ」


「そんなの…恋人って呼べないんじゃないの!?」


「しょうがないだろ。
それが俺たちの関係なんだから。

関係ない奴は口挟むな…引っ込んでろ」


「桜太っ!」


「あーもう……うるせぇ。
そのうるさい口、塞いでやるよ」





抵抗する間なんて、あたしに存在しない。

ただ、桜太にキスをされるだけ。





甘さなんて存在しない、苦くてしょっぱいキスを、延々と。







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