君の嘘を知らなくて(仮題)







遠ざかっていく背中に、あたしは大声で問いかけた。




「ハインのアドレス知らないんだけどー!」


「右ポケット見てみろーっ」




右ポケット?

ブレザーのポケットを探ると、1枚のメモ用紙が入っていた。

四つ折りの中には、アドレスが書かれていた。




「それ、俺の個人情報だからー!
絶対誰にも教えんじゃねぇぞー!」


「わかったーっ」


「遅刻したらお仕置きするからな!バカメ!」


「バカメじゃない!あたしはアヤメ!」


「そんじゃーなバカメ!」





バカメじゃないのに…!

あたしは怒り気味で、グシャッとなってしまった紙を見る。

そして忘れぬうちに、ハインに登録した。




ハインとは、無料通話アプリのこと。

簡単に友達とやり取りが出来るんだ。

既読マークがつくのが面倒って捉える子もいるけどね。




<望月桜太>と登録された。

…ハインの友達、なっちゃったよ。





にしても放課後、何があるんだろー?







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