君の嘘を知らなくて(仮題)








「だったら、和室で寝かせれば良いじゃないの」


「それでも良いんだけど、和室って寒いでしょ?」




確かに和室は寒い。

夏ならまだしも、今の季節和室で寝るのはちょっとキツい。

風通しが良すぎるらしいんだけど…。




「というわけで!よろしくねアヤメ」


「……はーい」




強制的って感じもするけど、渋々頷く。




「明日は軽くパーティーをしなくちゃね!」


「ご馳走いっぱい作ってね!
あっ飾り付け、した方が良いかなぁ?」


「したいのならしても良いけど…。
飾り付けはアヤメが買ってきてよ。

明日わたし、スーパーで買い出ししなくちゃいけないから」


「じゃあ学校帰りにどこか雑貨屋さん寄ってくるよ」


「飾り付けはアヤメに任せるわ」


「…そういえば結婚式は?」


「ウェディングドレスとタキシード、レンタル出来ることになったから。
明日家に届くわ」


「あっそうなの……」





本当、あたしが同居を拒否したらどうなっていたんだろう。

レンタルと言ってもウェディングドレスとタキシードだ。

簡単に買えるような額ではないだろう。





「楽しみねぇアヤメ」


「そうだねぇ……」





楽しみというか…不安でいっぱいだ。

だって同い年の男子と同居なんて…どこの少女漫画よ。

俺様とか…我(わ)が儘(まま)な男子でありませんように…。




あたしは心の中で祈った。








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