スロウ・スノウ




まあ、私はなんというか。




あまり誉められた性格を持ち合わせていなくて。





うっとうしいのとか、面倒くさいのとか、疲れるのとか。




そういったものは極力避けるし。



仮に人が助けを求めてきてもそれが面倒事だと判断すれば。

私は多分、すぐさまそれを切り捨てる。




そんな人間。





だから正直、いきなり他人(しかも先輩)に話を吹っ掛けてくるような彼とは関わろうなどとは、少しも考えていなかった。





なんだか、うるさそうな人だし。










でも。






『先輩、今日もお向かいの席いいですか?』



『この本読んだことあります?』



『聞いてください!購買に行ったら……』





彼はそれからと言うもの、図書室に通う私を見つけては話しかけてくるようになった。





はじめのうちこそ、

なんだこいつ。

とか思ったけど。





いつの間にか彼にも馴れてしまっている自分がいて。




そして彼が初めて話しかけてきてから2か月後くらいには。







週2,3日通いだった私が、なぜか、ほぼ毎日図書室に通うようになっていたのだった。






< 9 / 48 >

この作品をシェア

pagetop