愛の歌、あるいは僕だけの星

かくれんぼ



 原田達を殴った翌日にはゴッツから連絡が入った。結局謹慎処分にはならず、今回は反省文の提出だけで良いとのことだ。
 その時ゴッツには「しっかりと時間を掛けて、ちゃんと自分と向き合って書けよ」と、電話越しに念を押された。

 反省文は未だ半分にも満たない。それも既に、ごちゃごちゃに置かれた物の下敷きになってしまっている。

(……暗い)

 夜が明ける前が一番暗いと聞いたことがあるけれど、それは本当だと思った。結局、あの日から一度も学校へ行っていなかった銀也のスマホには、メッセージが十二件未読のまま残っていた。それを中身も見ず、宛名だけで判断し削除していく。
< 231 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop