愛の歌、あるいは僕だけの星



 夏が自分の家へと帰るのは、この中途半端な姿になって三度目だった。
 一度目は、自分が死んだ時。二度目は、自分の四十九日の時だ。久しぶりの我が家、久しぶりに会う両親。

 夏の部屋は、片づけられることなく、"あの日"とまったく同じ様子のまま時間の流れが止まっていて、自分の居場所は失われることなくこの家にそのまま残っていた。

『銀也、ちゃんとひとりでごはんつくって食べてるかな』

 年齢の割に、銀也は随分と大人びている。おそらく、彼を取り巻く環境がそうさせているのだろうけど、随分と達観しているし、世の中を斜めから見るようなところがあった。
 けれど、最近は少しだけ変わったようにも思える。実家へ帰ると告げたとき、ぶすくれていた銀也の顔が思い浮かんで思わず口元に笑みを浮かべた。その時だった。

 窓の外で、何かが崩れ落ちるような音がした。
 ベッドから腰をあげて、窓の外を覗く。

『……え!?』

 自分の家の前に、人が倒れている。
 しかもそれは。
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