愛の歌、あるいは僕だけの星

ねがいごとひとつ



「んー……」

 雲ひとつない梅雨明けの空は、高く澄み渡っている。まだ早朝ということもあって、気温もそこまで高くない。まだ眠気のとれない身体をぐっとのばしながら、大きな欠伸をした。

「会長」

 後ろから声を掛けられ振り返れば、そこには普段見慣れない私服姿の蒼井が立っていた。

「蒼井、おはよ」

 にこりと笑って言えば、蒼井はホッと胸をなで下ろしながら「おはようございます」と言う。

「よかったです、来てくれて」

 視線だけをちらりと動かせば、なにやらこちらを見てそわそわしている女の子たちから歓声があがる。

「もし会長がばっくれでもしたら、俺たちの命が危なかったですからね」

 蒼井とその近くにいた生徒会メンバーの会計が、力強く頷いている。大げさだなあと思いながら、到着していた大型バスへ生徒達を誘導していく。
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