愛の歌、あるいは僕だけの星

君に贈るレシピ



 先ほどから、繰り返し繰り返しスマホから流れるアラーム音は、最近如月と一緒にはまって観ているドラマのテーマソングだ。銀也は、寝ぼけ眼で腕をのばし、アラームを止める。

「……眠い」

「おはよう、藤原君!」

 そのまま暫くうとうとと、夢と現を行ったり来たりしていれば、耳元で大声を出す如月に驚いて、今度こそ飛び起きた。心臓に悪い彼女の起こし方に眉をつりあげれば、彼女は悪びれもせずににこりと笑った。

(ちゃんと、いる)

 消えずに、彼女はきちんとこの部屋に戻ってきた。結局何一つ変わらずに訪れた今日が、こんなにも嬉しいと思ってしまうなんて一体自分はどうしてしまったのだろう。

 銀也は、らしくないと小さく溜息をつきながら、いつもと同じようにインスタントコーヒーを淹れて口を付ける。舌先に感じる苦味に、ようやく少しだけ眠気が晴れた。
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