オークション
グラウンドの端の方では藤吉さんがスケッチブックを持って座っている。


一応体操着に着替えてはいるが、先生も無理に参加させる気はないようだ。


そんな藤吉さんと目が合った。


藤吉さんはニコッとほほ笑む。


何でもないような笑顔だけれど、何もかも見透かされているような気分になり、目をそらした。


藤吉さんだってあたしと同じことをしたんだ。


罪悪感を持つ必要なんてない。


そう思っても、走る事に人生をかけたことのないあたしはどうしても後ろめたさを感じた。


でも……。


前方を睨み付け、走る体制になる。


今日、この瞬間から。


あたしは走ることに人生をかけるから……!
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