オークション
「オークションの情報はすべて口外禁止となっております。誰が何を売り、誰が何を買ったのか。極秘としてください」


その言葉にあたしは思わず言い返しそうになったが、その言葉を飲み込んだ。


これだけの人数が集まっているオークションの存在をあたしは今まで知らなかった。


それはここに来ている全員が契約を守っているからに違いないのだ。


「ただし、例外が1つだけあります」


コホンッと咳払いをして男性は言った。


「例えば北川さまのご友人がオークションで何かを購入された場合、


元々オークションの存在を知っている方が知り合いにいた場合などは、身内内でのみなら会話をしてくださってもかまいません」


男はそこで1つ呼吸を整えた。


「ただ、故意にオークションの事を広めることは辞めてください。これはあくまで特別会員さまのみのイベントとなっております」


「あ、あの……」


あたしの後ろにいたエレナがおずおずと男性に話しかけた。
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